燃料サーチャージとは、燃料価格の上昇・下落によるコストの増減分を別建ての運賃として設定する制度です。
現状の燃料価格が基準とする燃料価格より一定額以上、上昇した場合に、上昇の幅に応じて燃料サーチャージを設定または増額改定して適用するものです。
一方、燃料サーチャージの設定時点より下落した場合には、その下落幅に応じて減額改定し、また、燃料価格が基準とする燃料価格よりも低下した場合はこれを廃止します。
燃料サーチャージとは、燃料価格の上昇・下落によるコストの増減分を別建ての運賃として設定する制度です。
現状の燃料価格が基準とする燃料価格より一定額以上、上昇した場合に、上昇の幅に応じて燃料サーチャージを設定または増額改定して適用するものです。
一方、燃料サーチャージの設定時点より下落した場合には、その下落幅に応じて減額改定し、また、燃料価格が基準とする燃料価格よりも低下した場合はこれを廃止します。
昨今の原油高騰により、平成15年まで1リットル64円程度で安定していた軽油価格は、平成15年に比べ約7割上昇(44円/L上昇)しており、トラック産業においては、軽油価格が1リットル1円上昇するごとに約160億円の負担が発生し、これまでに産業全体のコスト増は7100億円に達すると推計されます。
しかし、トラック運送業者は荷主等に対し運賃交渉力が極めて弱いため、ほとんど運賃転嫁が進まず、運送業者自らが負担せざるを得ない状況です。
また、トラック運送業については、平成16年4月から独占禁止法物流特殊指定及び下請法が適用されていますが、これまで運賃の「買いたたき」等の不適正取引の実態が明らかになっており、その是正を図ることが急務となっています。
さらに、我が国の経済成長を持続可能なものとするためには、トラック運送業のような中小企業の成長力底上げが必要であり、このため軽油価格高騰分を含む適正な運賃収受が不可欠です。
さらに、事業改善命令の発動基準では、「他のトラック事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがある場合」が規定されます。
その例として
が示されます。
今回、燃料サーチャージガイドラインを行政通達として発出し、これを遵守して、導入している事業者については、燃油費に関しては上記発動基準に該当しないものと推察されるので、この点を地方運輸局に周知し、これに沿った取り扱いをします。
一方、燃料サーチャージ制を導入しない事業者については、燃油費に関しては、上記発動基準に該当するおそれが依然として残ります。
このため、必要に応じてまず事情聴取・調査を行った上で、上記[1]又は[2]に該当するおそれがあり、かつ、燃料サーチャージ制導入しない事業者に対しては発動基準に該当するおそれがあるものとして、立入検査を行い、その結果、導入しないことについて合理的理由がなく、かつ、発動基準に該当すると判断された場合には、当該事業所者に対し、燃料サーチャージ制の導入等適正な運賃への変更を指導するとともに、これに従わない場合は、同法第26条に基づく事業改善命令として燃料サーチャージ制の導入等適正な運賃への変更を命令することがあります。
貨物自動車運送事業法第33条の規定により処分を行う場合において、当該命令又は処分に係る違反行為が荷主の指示に基づきおこなわれたことが明らかである時や、違反行為が主として荷主の行為に起因すると認められ、かつ、貨物事業者に対する命令又は処分のみによっては当該違反行為の再発を防止することが困難であると認められるときは、当該荷主に対しても、違反行為の再発の防止を図るために適当な措置を執るべきことを勧告することができるとされています。
燃料サーチャージ制を導入せず、かつ、貨物自動車運送事業法第26条の運賃・料金の変更命令の発動基準に該当した場合は、同条に基づき、燃料サーチャージ制の導入等を命令しますが、それにもかかわらず、同命令を遵守しない場合は、同法第33条の規定により処分を受けることになります。
さらにそれが荷主の指示により行われている場合は、同法第64条の規定により国土交通大臣から当該荷主に対し再発防止のための勧告を行う「荷主勧告制度」が摘用されます。
トラック運送業において適正な取引を推進していくためには、お互いに理解と信頼関係をもって進めていく必要があります。このため、中央・地方において、国土交通省、荷主・元請事業者・下請事業者によるパートナーシップ会議を設け、適正な取引を推進する基盤となる体制を構築することとしていますので、燃料サーチャージ制の円滑な導入を図るため、当該会議を情報収集等に積極的に活用するようお願いします。
個々のトラック事業者が、燃料サーチャージの導入又はその内容について個別に決定すること自体は、独占禁止法上の問題は生じないとされています。しかしながら、これらについて、事業者間で、又は事業者団体において、合意・決定すれば、独占禁止法上問題となるとされていますので、このような行為が行われないよう十分に留意する必要があります。